劇症型溶連菌感染症の増加

手や足の壊死などを引き起こし、致死率の高い劇症型溶血性レンサ球菌(溶連菌)感染症の患者数が、今年1月からの累計で1千人を超えました。統計のある1999年以降で過去最多だった昨年を上回り、感染拡大が止まらない状況が続いています。国立感染症研究所の公表した速報値によれば、9日までの今年の感染者数は1,019人に達しています。わずか半年で、昨年の941人を上回っています。
原因となる溶連菌にはA群、B群など複数の種類があります。A群は毎年冬と春から初夏にかけ、子どもを中心に流行する咽頭炎の原因になります。重症化はまれで、身近な病原菌として知られています。しかし、傷口などから菌が体内に入り込むと、急速に手や足が壊死したり、多臓器不全になったりする劇症型溶連菌感染症を引き起こすことがあります。発症から数十時間で死に至ることもあり、致死率は約30%と高く、人食いバクテリアとも呼ばれています。
予防には感染症対策をしっかり行うことです。治療では抗菌薬の投与が行われます。劇症型で血圧が低下するケースでは、点滴や輸血などの全身管理が必要になります。さらなる組織の壊死や多臓器不全などを防ぐために、外科手術により壊死した組織を切除することも必要です。

(2024年6月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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