医の倫理について考える―Ⅴ

医学研究に関する倫理指針
 人を対象とする医学系研究は、医学・健康科学及び医療技術の進展を通じて、国民の健康の保持増進並びに患者の傷病からの回復及び生活の質の向上に大きく貢献し、人類の健康及び福祉の発展に資する重要な基盤である。また、学問の自由の下に、研究者が適正かつ円滑に研究を行うことのできる制度的枠組みの構築が求められる。その一方で、人を対象とする医学系研究は、研究対象者の身体及び精神または社会に対して大きな影響を与える場合もあり、様々な倫理的、法的又は社会的問題を招く可能性がある。研究対象者の福利は、科学的及び社会的な成果よりも優先されなければならず、また、人間の尊厳及び人権が守られなければならない。
 文部科学省と厚生労働省は、平成14年以降、研究者が人間の尊厳や人権を守るとともに、適正かつ円滑に研究を行うことができるように、様々な臨床研究に関する倫理指針を定めてきた。しかしながら、近年、指針の適用対象となる研究の多様化により、指針の適用範囲が分かりにくいとの指摘もあり、平成26年12月に新たな倫理指針を定め、平成29年に2月にその一部を改正している。研究機関の長は研究実施前に研究責任者が作成した研究計画書の適否を倫理審査委員会の意見を聴いて判断し、研究者は研究機関の長の許可を受けた研究計画書に基づき研究を適正に実施することを求められる。研究者、研究機関の長及び倫理審査委員会をはじめとする全ての関係者は高い倫理観を保持し、人を対象とする医学系研究が社会の理解及び信頼を得て社会的に有益なものとなるよう、倫理指針の原則を踏まえつつ、適切に対応することが求められる。

(吉村 やすのり)

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