医薬品と医療機器の輸入へ

 日本の医薬品と医療機器は、ともに輸入額が輸出額を大幅に上回る貿易赤字が続いており、その赤字幅は年々広がっています。厚生労働省の調査によれば、医薬品の輸入額は4年間で37%増え、2014年に31,884億円に達しています。一方輸出額は微減を続け、2014年は1,260億円と、輸入額の25分の1にとどまっており、赤字額は3兆円を超えます。輸入している医薬品は、抗がん剤や糖尿病薬、抗ウイルス剤が上位を占めています。高齢化や医療の高度化に伴って医薬品の需要は増やしており、海外の医薬品への支払額は今後も増え続けます。この理由として、わが国には大規模な製薬企業が少なく、新薬開発のための資本を投入することができないことがあげられます。合併を繰り返してきた外資に比べ、製薬企業の規模が小さく、研究開発投資も少ないことが原因です。
 医療機器も大幅な貿易赤字です。2014年の輸入額は1兆3,685億円で、2010年比で29%増加しています。輸出額も増加してはいますが、5,723億円にとどまっており、約8,000億円の赤字となっています。日本は大学の技術シーズを産業化するベンチャー企業が少なく、臨床試験の体制も不十分とされています。日本の製薬企業も合併することにより、大規模化し、研究開発費を拡大しなければ、この状況を打開することはできません。

(2016年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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