医薬品の乱用

厚生労働省らの調査によれば、医薬品の過剰摂取(オーバードーズ)が原因と疑われる救急搬送が、10~20代で急増しています。昨年は2020年と比べ、10代で1.5倍、20代で1.2倍になり、今年も6月末までの上半期は昨年を上回るペースで増えています。手に入れやすい市販薬の乱用の広がりが、背景にあります。若者の60人に1人が薬を乱用した経験があるとされています。
2022年に薬の過剰摂取疑いで救急搬送された人は計1万682人で、2020年比で11%増で女性が75%を占めています。成人の過剰摂取には、医師が処方した睡眠薬や抗不安薬もよく用いられてきました。若者の間で最近よく使われているのは、薬局やドラッグストアで買えるせき止めやかぜ薬などの市販薬です。背景には、社会的な孤立や生きづらさなどによる、若者が抱える不安や悩みなどがあるとされています。
厚生労働省は、乱用の恐れがある医薬品に指定されている成分を含む市販薬の販売規制を強める対応策を協議しています。乱用の恐れがある医薬品は6成分しか指定されておらず、指定外の成分の市販薬も乱用されています。乱用の実態を踏まえ、対象を見直す必要があります。

(2023年12月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。