受動喫煙対策

 たばこは、吸う本人だけではなく、周囲にいる人の健康にも悪影響を及ばすことが、いろいろな研究で明らかになってきています。日頃受動喫煙にさらされている人は、そうでない人に比べて肺がんになる危険が3割高くなります。国立がん研究センターは、受動喫煙で亡くなる人は国内で年間15,000人に上ると推計しています。2005年に、たばこの煙からの保護を目指す世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」が発効し、日本もこの条約に加わっています。喫煙が健康や社会、経済に及ぼす悪影響から人々を守るため、たばこにかける税金を上げたり広告を規制したり、禁煙治療を普及させたりして、喫煙者や受動喫煙の被害者を減らそうとする条約です。
 しかしながら、わが国の受動喫煙対策は、世界に比べて大きく遅れています。企業や官公庁などに受動喫煙防止を図りましょうという努力義務を課しているだけで、駅やホテル、飲食店など子どもがいるような公共の場での喫煙を禁じる法律がありません。厚生労働省は、昨年飲食店内を原則禁煙にする法整備をする予定でしたが、自民党との調整がつかず、宙に浮いたままです。近年の五輪開催都市は、全て受動喫煙を罰則付きで規制する法律や条例を持っています。国際オリンピック委員会は、東京もたばこのない五輪にと強く求めています。

(2018年1月11日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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