司法試験改革の必要性

法務省の発表によれば、2023年司法試験に1,781人が合格しています。8年ぶりに前年を上回り、政府目標1,500人も4年ぶりに達成しています。今回から受験が認められた法科大学院在学中の合格者が637人となり、全体を押し上げています。
法務省によると、合格率は前年比0.18ポイント減の45.3%です。在学中受験者の合格率は59.5%で、大学院修了者の32.6%を上回っています。内訳は男性1,257人、女性524人です。大学院を修了しなくても受験資格を得られる予備試験組は327人でした。
法科大学院は、国民に身近な司法をうたった政府の司法制度改革の一環として、2004年度に開設されました。社会人など法学部卒業者以外の様々なバックグラウンドを持つ人材の養成を目指し、当初の目標は年間合格者数3,000人と定めました。しかし、修了者の合格率は2009~2019年は2割台に低迷し、合格者数も2008年に2,000人を突破した後は3,000人に達することはなく、2015年には目標自体が1,500人程度に下方修正されました。
従来は大学入学から法曹資格取得まで、司法修習を含めて8年弱かかっていましたが、新制度では6年に縮まることになり、時間・学費の負担が減ります。
日本の弁護士数は、2022年5月時点で約4万4,000人と、米国の約132万7,000人、英国の約16万7,000人、ドイツの約16万7,000人と比べ、圧倒的に少数です。法曹コースなど新制度の定着と大学院教育の充実により、優れた資質を持つ志願者の増加につなげることが大切です。

 

(2023年11月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。