名古屋大学医学部学生講義

 名古屋大学医学部で「子どもをもつこと―生殖医療の進歩の中で―」と題して、学生講義をさせていただきました。

 

 生殖医療の進歩にはめざましいものがあり、生殖現象の解明のみならず、ヒトの生殖現象を操作する新しい技術も開発されています。しかし、生殖補助医療は、受精・着床といった生命現象の分化メカニズムの解明を待つことなく、臨床現場の不妊症に悩む夫婦からの切実な訴えに支えられることによって、実験的医療とも考えられる数々の試みが実施されてきました。生殖医療において忘れてはならないことは、クライエントが希望し、医療者が施術を提供できれば医療行為は成立するが、他の医療とまったく異なり、新しい生命の誕生があることです。たとえ自己決定に基づく生殖医療であっても、生まれてくる子どもの同意を得ることはできないことを、クライエントも医療提供者も十分に認識しておく必要があります。
 学生講義を通して、生殖医療の素晴らしさを理解していただくと同時に、若い世代の医学生に子どもをもつということの趣旨を考えていただければ幸いです。

 

(吉村 やすのり)

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