国民医療費の増大

 厚生労働省によれば、2015年度の概算医療費約415千億円のうち、最も伸び率が高かったのは薬代など調剤です。金額は79千億円で、前年度から7千億円増えています。伸び率にすると9.4%であり、高額な新薬が押し上げています。技術革新でこうした高額薬が毎年登場して同じペースで増え続ければ、単純計算で2030年度には調剤だけで304千億円まで膨れ上がってしまいます。
 1985~2012年度の国民医療費を分析すると、23兆円余り増加したうち人口増減の影響は1兆円程度です。9割以上は1人当たりの医療費の増加が原因です。増減の要因を分析すると、薬価など診療報酬改定は6千億円減少させましたが、高齢化で11.4兆円、さらに医療の高度化を含むその他の要因で11.2兆円も医療費を押し上げています。国内総生産(GDP)が伸びず税収が低迷する中、税金を投入している国民医療費は40兆円を突破し、国の財政を圧迫し続けています。

 

(2017年10月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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