地域医療実習

 医学生が大学の外で様々な経験を積む「地域医療実習」が定着してきています。医師1人で多くの疾病と向き合う診療所や介護施設で実務や苦労に触れることにより、総合診療のスキルを身につけることが目的です。背景にあるのは医師不足です。地域医療の重要性や働きがいを伝え、医師不足を食い止めようとしています。
 全国地域医療教育協議会の調査によれば、全国80の医学部・医科大学のうち77大学が、地域医療実習を導入しています。実習の場は「学外の病院」が75大学で最多で、「診療所」66大学、「介護施設」48大学と続いています。実施する学年や内容は大学側に委ねられています。質を高めるため、他の職種との連携を取り入れ実践的な教育を試みる動きもあります。高齢社会では、医療や介護、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が求められます。このため学生時代から職種を超え意思疎通を図る場を設け、連携力の高い人材を育成することは大切です。

(2016年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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