大学の国際化

10兆円規模の大学ファンドの支援対象候補となった東北大学は、教育の国際化で意欲的な目標を掲げています。留学生比率20%は、筑波大学も目指しています。カギを握るのは入試のグローバル化です。米国の大学では入試は教員ではなく、アドミッションオフィスの専門職が担っています。東北大学もプロフェッショナルによる入学者選抜を目指しています。
世界から正規の学生を集めるグローバル入試は、日本の大学の大きな課題です。世界全域で学生募集をしている立命館アジア太平洋大学は稀な例で、学部の留学生比率は高くても数%です。特に主要国立大学は2~3%と低率です。一方、大学院は定員割れが常態化し、留学生依存になっていることも多く、様相が全く異なっています。
留学生向けの枠を定員内に設定することに、多くの国立大学は及び腰です。日本人の定員が減ることに高校や世論の反発が予想されるからです。国立大学は、主に日本国民が納めた税で運営されています。他方、世界と競える大学をつくるには、学部段階からの国際化が必要となります。
厳格な定員管理や、留学生にも国内学生と同じような入試を課す日本流のやり方も国際的には異質です。大学にとっては教育内容の見直し、アドミッションオフィスや寄宿舎の整備、海外で学生募集の実務を担うエージェントとの関係づくりなど課題は無数にあります。

(2023年9月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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