夫婦ペアローンの拡大

夫婦で住宅ローンを借りるペアローンの利用が増えています。価格が高騰する新築マンションが顕著で、首都圏の2023年の利用者は約34%と過去最高となっています。20代では単独で借りる場合に比べて借入額は1.9倍です。女性の正規雇用が増えていることが背景にあります。
背景にあるのが新築マンションの価格高騰です。不動産経済研究所によれば、2023年度の東京23区の平均価格は1億円を超えました。夫婦2人分の収入を前提に借入額を増やさなければ、容易に手が出せない水準です。新築マンションの影響で、中古マンションや戸建ても一部で価格が上がっています。
三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査によれば、1人で借りる単独のローンよりペアローンは借入額が大幅に増えます。2人の収入を前提とするため、返済能力がより高いことによります。特に20代の増加率が目立ち、2024年の中央値ではペアローンの借入額は4,100万円と、単独の約1.9倍に達しています。総務省によれば、共働き世帯は2023年で約1,278万世帯と専業主婦世帯の2.5倍です。20~30代女性の場合、正規雇用率も大きく上昇しています。一般的に正規雇用なら住宅ローン審査でも有利になり、ペアローンの利用を促す要因となっています。
一方、家計が抱える負債は増えています。住宅価格の高騰に加え、以前より少ない頭金で購入する動きが多くなっています。今後、ペアローンを利用する際は、金利のある世界を前提に自らの負債と収入、夫婦の将来的な働き方の希望、所得の見通しなどをより一層、慎重に考える必要があります。

(2024年4月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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