奨学金の返済

 かつて奨学生は全学生の1割程度でした。今では国の奨学金だけでも、学生の4割にあたる132万人が利用しており、事業総額は約1兆円にも及びます。民間奨学金を含めると、利用者は半数を超えています。日本学生支援機構が運営する国の奨学金は、無利子と有利子の2種類あります。国の奨学金は返さなければなりませんが、返済に苦しむ若者が多くなっています。同機構によると、3か月以上の滞納者は、2014年度で約173,000人、延滞額は約898億円に上っています。
 国の無利子奨学金は、例えば最も利用が多い私立大に自宅通学する場合、月額5万4,000円、4年間で約259万円を借りられます。これを卒業後、毎月1万4,400円ずつ15年間かけて返していくことになります。しかし、無利子の奨学金を返す20歳代、30歳代の4割が年収300万円未満であり、例え月1万円台の返済でも負担は重くのしかかってきます。博士課程まで行くと、無利子で借りても900万円を超えてしまいます。こうした貧因の連鎖を断ち切るために、2017年度から新制度が導入されることになりました。所得連動返還型奨学金で、卒業後の年収を把握し、年収約144万円未満は月額2,000円、それ以上は課税所得の9%を返済することになります。

 

(2016年4月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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