子どもの医療助成

 100兆円を超す日本の社会保障給付のうち、家族関係社会支出はわずか57千億円である。そんな状況下で、子どもの医療費の助成範囲が広がっている。子どもの医療費助成は、すべての都道府県や市区長村で実施されているが、小学生以上の通院医療費を助成する市区町村は76%にも及ぶ。中高生まで援助しているところもある。都は1994年に始めた助成は3歳未満だけで、親の経済的な理由で子どもの病気の受診が遅れるのを防ぐのが狙いであったが、今は中学3年まで助成し、当初の理念から逸脱している。

 現状は自治体が医療費補助の引き上げ競争を演じ、子育て世代を自治体間で移住させられることはあっても、日本全体の出生率を引き上げる効果は乏しい。医療費の家計負担がなくなれば、一方で安易な通院を招き、医療費の膨張につながる危険性もある。

日本経済新聞 平成26年9月26日より

(吉村 やすのり)

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