学校事務でDXの活用

文部科学省の調査によれば、生成AIを校務で活用しているかとの問いに、全く活用していないと答えたのは76.8%に上っています。一部の教職員が活用しているは22.9%で、ほぼ全員が活用は0.3%だけでした。文部科学省は、生成AIの小中学校などでの活用に関する指針をまとめ、業務効率化や質の向上に生成AIを使うことを提案しています。
調査では紙での作業が根強く残っていることも明らかになっています。保護者や外部とのやりとりで、押印・署名が必要な書類はあるが87.2%にのぼっています。業務にファクスを使用しているとの回答は95.9%を占めています。情報を手入力する必要があるなど業務負担が大きく、紛失などのリスクもあります。学校で集金する際に口座振替などを利用する学校は36.5%で、デジタル化を全くしていない学校は17.3%もありました。子どもの欠席や早退・遅刻連絡を完全にデジタル化していたのは、30.8%にとどまっています。
日本の教員は、各国と比べても校務の負担が大きくなっています。OECDが2018年に実施した国際教員指導環境調査によれば、中学教員が1週間で事務作業にあてる時間は5.6時間です。参加48カ国・地域で最長で、平均2.7時間の2倍近くなっています。DXの遅れの背景には、ネットワークの環境整備の不十分さや、前例踏襲により紙での作業を続ける意識面の課題があります。働きやすく、若い世代に魅力のある職場にするためにもDX化は必須です。

(2023年12月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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