宅配便の危機

 宅配便の便利さの追及に限界が迫っています。ヤマト運輸は、従業員の労働環境の改善を目指し、2017年度の残業時間を2016年度比1割減らす方針を固めています。日本流のきめ細かなサービスが労働負担を高めているため、事業のあり方を抜本的に見直すとしています。荷受けの総量を抑制する値上げや配達の時間帯指定の廃止を検討しています。一方、宅配ロッカーの整備などを推進し、消費者への影響を抑える手法も探っています。
 スマホやタブレット端末の普及、即日配送などのサービス拡充に伴い、インターネットを通じた商品購入の市場は成長が続いています。経済産業省の調査によれば、2015年の市場規模は137,700億円となり、5年前の約1.8倍に拡大しています。ネット通販は最終的に荷物を消費者に届けることが必要になるため、市場の拡大は配送する荷物の増加に直結します。宅配便の取扱個数は2015年度に37億個と5年前に比べて5億個増えています。不在時に荷物を届け直す再配達コストも物流会社にとっては大きな負担となっています。

(2017年3月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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