小学校の活用

2023年時点で、小学校は全国に約1万9,000カ所あります。仮に統廃合を進めずこの数のままなら、1校あたりの児童数は全国平均で200人くらいになってしまいます。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、日本の人口は2056年に1億人を割り込みます。この年に小学校に入る新1年生は全国で60万人強に過ぎません。
高齢化は進み、自治体にとって小学校の維持のためには、財政面での課題ものしかかってきます。学びの環境を保つには工夫が必要になります。学校の図書館や調理室、音楽室などを他の公共施設との共用にして、タイムシェアすることが欠かせません。子育て支援施設や高齢者向けの施設を小学校の中や近隣に移し、幅広い世代が利用しやすくします。多くの人が地区の拠点として訪れるようになれば、診療所や銀行、カフェなども立地できます。企業も投資しやすくなります。学校も維持できるようになります。
英国には、拡大学校という仕組みがあります。学童保育など子どもの課外活動を充実させるだけではなく、保護者や住民向けのスポーツや学び直しの場として学校を活用します。限られた財源で教育効果や生活の質を高めるという発想が根底にあります。

(2023年10月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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