少子化対策と育児休業

育児休業法の施行から30年が過ぎました。当初は出産を機に仕事を辞める女性を減らす労働政策の側面が強かったのですが、近年は男性の育休取得率向上など、少子化対策としての意義が強調されるようになっています。
育児休業法は1992年4月に施行され、従業員数が常時30人超の事業所を対象としてスタートしました。介護休業制度の創設で、1995年には育児・介護休業法へと名称を変更され、全ての事業所が法律の適用対象となりました。制度創設時の趣旨は、女性が出産を機に退職することを防ぎつつ、乳児を抱えながら働く女性を保護することにありました。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によれば、第1子出産後も就業を継続した女性の割合は、1985~1999年は約4割でした。育休制度の充実に伴い就業を継続する人は増加、2015~2019年には、約7割の女性が仕事を続けるようになっています。労働政策として、一定の成果を上げています。
正社員ら制度の対象となる女性の育休取得率が安定的に80%を超える一方、男性の取得率は長く1%未満で推移していました。政府は少子化対策の柱の一つとして、男性の育休取得率を2025年までに30%に引き上げる目標を掲げています。第1子出産後に男性が育児参加に積極的であるほど、妻が第2子を産む割合が高いという調査結果もあります。
昨年10月には、子どもの出生後8週間以内に最長4週間取得できる産後パパ育休を創設しました。今年4月からは、従業員1,000人超の企業に男性の育休取得率の公表が義務付けられることになっています。男性の育休取得は、出生率上昇につながる可能性が高いと考えられています。取得率が公表されれば、数値の低い企業には優秀な人材が集まらなくなるかもしれません。

(2023年2月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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