急病搬送の課題

高齢化を背景に、救急車の出動件数は年々増加する傾向にあります。しかし、総務省消防庁によれば、急病で搬送される患者の4割強は軽症者が占めています。夜間・休日の医療相談サービスは、患者や家族の不安を解消するだけなく、患者のトリアージを通じて救急車の不要な出動を減らす効果があります。

夜間や休日の病気やケガで困る人は少なくありません。救急車を呼ぶほど深刻ではなさそうだが、外来窓口が開く平日の朝まで放置してしまうのは、不安に感じることはよくあります。そんな悩みを解消しようと、夜間や休日にスマホで医療相談を受け、患者の症状に応じて往診やオンライン診療を行うサービスが広がっています。
ファストドクターの往診事例では、相談前に救急車の利用も考えていた患者の93%が、実際には救急搬送の必要がない症状です。夜間・休日サービスも、要請すれば必ず往診してくれると思うのは間違いで、あくまで症状しだいで要否が判断されます。こうした夜間・休日サービスは、あくまで補完だということは認識しておくべきです。診療所と異なり、治療の経過を観察して継続的に患者を支える機能はありません。

(2023年10月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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