性別変更の手術要件は違憲

最高裁判所大法廷は、生殖機能をなくす手術を性別変更の事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定が、憲法違反かどうかが争われた家事審判で、違憲で無効とする新たな司法判断を示しました。社会情勢の変化を踏まえ、合憲とした2019年の小法廷の判例を変更しました。裁判官15人の全員一致の意見でした。最高裁が法令を違憲と判断したのは戦後12例目です。
2004年施行の特例法は、性別変更を認める上で5つの要件を定めています。今回の審判は、このうち生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠くとする規定の違憲性が争点となりました。最高裁判所は、2019年に同規定について手術が必要との解釈を示した上で、合憲としていました。
最高裁判所大法廷は25日の決定で、生殖機能をなくす手術は強度な身体的侵襲と指摘しています。医学の進展や社会情勢の変化により、規定は制約として過剰になっており、現時点で必要かつ合理的とはいえないとして憲法13条に違反すると結論付けました。

(2023年10月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。