性的少数者に対するハラスメント

性的少数者は、日本で11人に1人いるとされています。LGBTなどの性的少数者が社会生活の困難を感じるひとつの壁に就職活動があります。カミングアウトしたら落とされないだろうかと心配する当事者は今も少なくありません。認定NPO法人ReBitの調査によれば、就職・転職で困難やハラスメントを経験した当事者は、LGBなどで35.7%、心と出生時の性が一致しないトランスジェンダーで75.6%にのぼっています。
特にトランスジェンダーは、性別欄の記載でどう書くべきか、性自認と一致しないスーツを着なくてはならないのか、などと多くの悩みを抱え、就職活動につまずいてしまいます。セクシュアリティーが原因で、採用から排除されてしまう当事者は今も多くみられます。
性的少数者が安心して働けるかどうかは人権にかかわる問題ですが、企業の成長を考えるうえでも無視できないとする研究があります。フィンランドの大学が米国の上場企業657社の財務データと性的少数者施策の関連性を調べたところ、性的少数者に配慮する企業ほど収益性が高く、株式市場の評価が高いとの結果が出ています。人材確保においてもプラスになります。当事者でなくても、人権意識が高く性的少数者が働きやすい企業で働きたいという傾向が強まっています。

(2023年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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