政府クラウドの海外依存

政府クラウドを巡っては、提供事業者として、アマゾンなどの米IT大手4社が選ばれてきました。日本企業としては、さくらインターネット(大阪市)が11月末に選定されたばかりで、米企業に依存せざるを得ない状況となっています。個人情報を管理する政府クラウドを海外企業に依存する状況について、自治体の懸念は多岐にわたっています。



読売新聞の調査によれば、121自治体の4分の1に当たる31自治体が、不安がある、多少の不安があると答えています。日本から撤退したり、倒産したりした場合の個人情報の取り扱いが不透明、為替変動で利用料が増えれば影響が大きいなどの声が上がっています。欧州や韓国では、自国のデータを自国で守るデータ主権を重視し、データの管理を自国企業が担う動きが強まっています。
米国のクラウド法を懸念する声もあります。米国の捜査機関が裁判所の令状に基づき、米国外のサーバーに保存されたデータについても開示を要求できることを明確化しています。日本人のデータも対象になる可能性があります。しかし、米国事業者の対応は不透明で懸念が残ります。
データ主権の考え方は世界の潮流で、海外企業に依存したままでは取り残されてしまいます。現状では、外資クラウドに比べて、セキュリティーなどの面で国産の技術が十分とは言えず、海外企業に頼らざるを得ない状況です。経済安全保障の観点から、人材育成のための投資を増やし、国産クラウド育成が急がれます。

(2023年12月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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