教育の無償化

 日本の国立大学の授業料は、高額な私立大学との差を受益者負担で埋めようと1970年代から急激な高騰を続けてきました。経済成長率が高いうちは家計でやりくりできても、バブル経済崩壊後は多くの家庭が負担に耐えきれなくなってきています。このため90年代後半から有利子奨学金の利用が爆発的に増えていますが、最近はその返済の重さが問題化しています。教育の無償化には財源が必要となります。幼児から高等教育まで全てを無償化するならば、4兆円を超えるという財源の捻出が必要となります。
日本では高等教育費の家計による負担割合が、極めて大きくなっています。欧州連合(EU)では、平均して8割ほどが公的な負担でまかなわれていますが、日本では5割以上が家計の負担となっています。欧州では、教育費負担にも福祉国家的思想があります。しかし、東アジアでは「学費は親が工面する」という社会的風潮が強くなっています。

(2017年3月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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