東京の一極集中

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、総人口に占める東京都の人口の割合は、2050年に13.8%と、1990年の9.6%と比べ大きく高まっています。公表された5年ごとの推計人口は、2025~2050年にかけ、全ての道府県で減少していく一方、人口流入が続く東京都だけは、2040年まで人口増が続くとされています。

地方経済の衰退で、若者が就職・進学などで選択肢の多い都内に転入する流れが続いています。東京都と46道府県の間の人口移動は、昨年までの10年間の合計で約61万人の転入超過となっています。20代の転入者が多くなっています。
こうした一極集中が、少子化の流れを加速させています。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、2022年の全国値は1.26で過去最低となっています。東京都は大きく下回る1.04で、全国最低です。人口が集中している分、昨年80万人を割り込んだ出生数への影響は大きくなっています。
東京や周辺の大都市への人口流出が続く地方では、親となる若い世代が減少しています。少子化と人口減が地域の活力を奪い、さらなる流出を招く負のスパイラルに入っています。長年の東京一極集中で、地方経済は悪化しています。見切りをつけた若者が東京に流入する流れを止めるのは容易ではありません。訪日外国人客の増加が見込める観光業などで雇用を創出し、地方にとどまる選択をした若者が、東京で働く場合と同程度の賃金を得られる環境を整えていく必要があります。

(2023年12月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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