東京都の子育ての課題

住民基本台帳に基づく総務省の人口移動報告によれば、東京都では30~40代の日本人は2020年以降、転出者が転入者を上回っています。2023年は1万2,000人の転出超過でした。9歳以下も2023年は7,700人の転出超過で、10年前の2.8倍になっています。
都が2023年に18~29歳の男女を対象に実施した調査によれば、子育てする上での住環境や教育の課題として、住宅の家賃や購入費の高さを挙げる人が55%で最も多くなっています。2023年の東京の合計特殊出生率は、0.99と1を割り込みました。少子化対策に勝利の方程式はありませんが、安心して暮らせる受け皿の整備は待ったなしの課題です。
子どもを産み育てる場所として選ばれるには、増加する共働き家庭に寄り添った支援が欠かせません。東京都内の待機児童数は、保育園の新設などで286人と、2023年4月1日時点で過去最少になりましたが、子どもが小学校に上がると預け先がなくなる小1の壁は解消されていません。学童保育の待機児童は、2023年5月時点で全国最多の約3,500人です。
これまでの支援は育児中の親が休める環境づくりでしたが、キャリアを大事にする女性が増えています。男女ともフルタイムで働ける環境が必要です。都は、学童の質向上のため、職員の配置や開所時間など都独自の新たな運営基準による認証制度も創設します。

 

(2024年6月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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