梅毒など性感染症の増加

ウイルスや細菌が、性行為によって性器や肛門などに接触して感染する病気を総称して性感染症と呼びます。梅毒もその一つです。国立感染症研究所によれば、昨年は1万4,906人が梅毒と診断され。3年連続で過去最多を更新しました。男性は20~50歳代、女性は20~30歳代で、感染者が多く出ています。
梅毒は感染から時間が経過するにつれて症状が変化します。まず感染から数週間で、陰部にできものやしこりができます。痒みや痛みはない場合が多く、治療しなくても数週間で消え、1~3カ月後に、今度は赤い発疹が手のひらや足の裏、お腹などに出ます。これも数週間のうちに消えます。治療せずに放置すると、病気が進行し、数年から数十年経って心臓や脳に障害が起きることがあります。
感染の有無は、血液検査で分かります。医療機関や保健所で受けられます。治療は抗菌薬を服用する方法と、注射薬があります。感染している妊婦も急増しています。梅毒は、感染した妊婦から胎盤を通じて胎児に感染します。先天梅毒といって、死産や赤ちゃんが重い障害をもって生まれることにつながります。妊娠中に感染が分かり、抗菌薬を飲んだ場合でも、14%が母子感染を防げないとされています。妊娠の前に検査と治療を受けることが大切です。
クラミジアや淋菌感染症の患者も、若い世代に目立ちます。特に女性は症状が出にくく、気が付かないうちに進行して不妊症の原因となることもあります。性感染症の多くは免疫ができないので、何度も感染し、知らないうちにパートナーに感染させるリスクがあります。

(2024年5月12日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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