梅毒の止まらぬ流行

性行為でうつる梅毒が、50年に1度とも言われる規模で流行しています。2023年の感染者数は約1万5千人と、10年前の約12倍になっています。今年も3月末時点で3千人を超えています。セックスワーカーのような性的活動の高い人が感染するというイメージではなく、梅毒が身近な病気になっています。

国立感染症研究所によれば、1999年に感染症法に基づく現在の集計方法になって以降、感染者数は年500~1千人ほどでした。10年ほど前から急激なペースで増えてきています。2022年、2023年はいずれも1万人を超え、今年も年1万人を超えるペースです。年1万~1万2千人の感染者が報告されるのは、1967年前後以来になります。
感染者数は男性の方が多く、全感染者に占める割合は6割以上です。女性では20代が突出しています。男性は20代から50代までおしなべて多くなっています。2013年頃は、男性間での感染が最も多く、全体の3分の1を占めていました。しかし、その後は男女ともに異性間の感染が急増し、ここ数年で7割を占めるほどになっています。

梅毒は感染している人との1回の性交渉で30%の人が感染するとも言われています。性産業と関係なく、特定のパートナーと性交渉する人であっても、男女ともに、梅毒を含めた性感染症の検査が大切です。自分の体や心はもちろん、相手の体や心を大切にするためにも、性交渉の前に一度検査を受けることが望ましいと思われます。

(2024年6月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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