流・死産後の産休

流産や死産で子どもを失うことは、ペリネイタル・ロスと呼ばれます。心への負荷も大きく、うつ病や不安障害につながる恐れもあります。周囲に話すのをためらい、気づかれにくい状況にあります。
労働基準法上は、原則産後8週間は働かせることを禁じ、出産した女性は産休に入ります。妊娠12週(4カ月)以降に流産・死産した女性にも適用されます。厚生労働省は、医学的に後期流産にあたる12週以降からを死産と定義しています。市区町村への届け出を義務付けています。
自助グループの働く天使ママコミュニティiKizuku(イキヅク)の調査によれば、妊娠12週以降で経験した女性171人のうち、産休を取らなかった人は15.8%に達しています。非正規雇用者に限ると34.4%に高まり、正社員の6.6%との開きは大きくなっています。取得しなかった理由は、制度を知らなかった、取らせてもらえなかった、早く復帰したかったなどです。法定の産休対象とならない妊娠12週未満の流産経験者に限ると、5割超が当日または数日後に職場に復帰しています。
東京都は、妊娠初期で流産した職員を対象に7日以内の早期流産休暇を設けています。死産の場合でも、産休が取得可能であることを就業規則などに明記し、柔軟な働き方もできる職場風土作りを進めるべきです。
流産・死産で子どもを失った悲しみは男性も大きく、ケアが必要となります。日本には配偶者が流産・死産を経験した際、男性向けの法的な休業制度はありません。英国では死産の場合、配偶者が最大14日間の特別休暇を取得できます。

(2023年9月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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