温室効果ガスの排出

世界の温室効果ガス排出の8割は、主要20カ国・地域(G20)からです。これまでの累積排出量の上位10カ国も、日本を含む先進国です。一方で、世界気象機関によると、1970~2019年に洪水などの気候災害で亡くなった人の9割は、途上国に偏っています。国連の気候変動に関する政府間パネルは、人間活動による温暖化が、すでに広い範囲で損失と被害を引き起こしていると指摘しています。
損失と被害への支援は、30年以上前から訴えられてきました。しかし、議論は進みませんでした。米国などを中心に、先進国が強く反対してきたからです。損失と被害が法的責任に結びつけば、賠償請求に広がり、膨大な金額が必要になります。
今回のCOP27は、温暖化の影響を受けるアフリカでの開催であったこともあり、途上国は損失と被害に特化した基金の設立を求めています。気候変動による経済的損失は、2050年に年間1兆ドル(約140兆円)を超えるという試算もあります。重要性と資金不足は各国の共通認識になっていますが、誰がどうやって払うのか、既存の仕組みを使うのか、新しい特化した仕組みをつくるのかは一致をみていません。

 

(2022年11月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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