災害拠点病院における災害時対応可能な外来患者数

日本経済新聞の調査によれば、首都直下地震の発生時、1都3県の災害拠点病院の6割で、受け入れ可能な患者数が平時を下回っています。平時の1割未満とした病院も22%もありました。発災6時間以内に医師が集まる割合は平均36%で、手術を担う外科系医師は33%でさらに低率です。要救助者の生存率が急激に下がる72時間以内の平均も、医師は73%でした。看護師は病院近くの寮に住む場合も多く、参集率の平均は発災6時間以内で45%、72時間以内で78%と医師より高率ですが、平時並みの体制が整うのはさらに先になります。
災害拠点病院は、災害発生時に地域医療の要として重傷者の初期治療を担い、地域の病院を支援します。4月時点で全国に770病院あります。1995年の阪神大震災の教訓から、厚生省が、1996年に災害時の初期救急医療体制の充実強化を要請し、各都道府県が整備を進めています。
指定要件として、24時間緊急対応でき災害発生時に被災地内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つことや、災害派遣医療チーム(DMAT)を保有することに加え、被災後に診療機能を早期に回復させるため業務継続計画を整備することなどを求めています。最低3日分の食料や水の確保なども必要になります。
2011年の東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県の33災害拠点病院のうち31施設が一部損壊しました。電気や水道などの供給も止まり、被災直後は20施設が外来患者の受け入れ制限しました。こうした反省を踏まえ、建物の耐震化や食料や水の備蓄などが進んでいます。指定された病院には診療報酬加算があります。

 

(2023年9月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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