特別養護老人ホームの赤字の増加

全国の特別養護老人ホーム(特養)の6割が、2022年度の収支で赤字となっています。全国老人福祉施設協議会の調査結果によれば、赤字の割合は前年よりも20ポイント近く増え、コロナ禍前と比べて2倍近くになっています。物価高の影響は、介護事業の運営をさらに圧迫しつつあります。
特養の経営は、コロナ禍を境に悪化が進んでいます。赤字施設の比率は、コロナ禍前の2019年度は34.3%でしたが、2020年度は40.8%と初めて4割を超え、2021年度もさらに拡大しています。補助金を含めた赤字も急激に増え、2022年度に初めて5割を超えました。
介護事業者にとって、収入となる介護報酬は国が決める公定価格のため、物価が高騰しても直接価格に転嫁できません。職員の賃上げもできなければ、他の産業に人材が流出し、人手不足が一層深刻になっています。このままでは事業継続が困難となり、地域の介護基盤が崩壊してしまいます。介護業界は、今回の調査結果も踏まえ、介護報酬改定で大幅なプラス改定を求める考えです。

(2023年10月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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