特定妊婦の増加

特定妊婦とは、貧困や若年妊娠などの理由で、出産前から支援を必要とされる女性のことを言います。児童虐待を防ぐために、2009年に児童福祉法に明記されました。2020年に8,327人に達しています。2010年は875人で、10年前の約10倍に増えています。



困り事を抱えている家庭について定期的に話し合う自治体の協議会に登録されると、支援が始まります。児童相談所や医療機関、自治体の担当者らが連携し、保健師や社会福祉士が家庭訪問したり、未受診の場合は出産できる病院を探したり、就労や生活支援につなげたりします。
予期せぬ妊娠や出産の相談に24時間体制で応じる、神戸市の公益社団法人小さないのちのドアには、全国から女性が駆け込みます。2023年8月末までの約5年間で、相談は5万1,374件、相談者は1万2,139人に達しています。10~20代が約6割、年齢が分からない相談も3割以上あります。2020年に住む場所や仕事がない女性のためのホームもつくっています。9室を備え、産前から産後半年ほどの滞在が可能です。食事などの生活支援や、産後の就労支援を受けられます。
いつでも病院に同行できる態勢が必要ですが、夜間に人員を確保するのは簡単ではありません。国や民間の助成金のほかは寄付で賄っており、民間の期限付きの助成が無くなれば、運営は厳しくなります。国の手厚い助成は不可欠です。来年度施行の改正児童福祉法では、自治体が特定妊婦やその子どもらに、住居や食事提供などの生活支援を行うよう明記されています。

(2023年12月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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