猛暑による労働の低下

地球温暖化が深刻になっています。日本のみならず世界の平均気温も過去最高を更新し続けています。ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学などは、2023年の北半球の夏が過去2000年間強で最も暑かったとの研究成果を明らかにしています。最長2700年ほど生きた樹木の年輪を分析し、およそ2000年前からの気温を復元しています。

国際労働機関(ILO)は、熱ストレスの可能性を指摘しています。暑さによって失われる労働時間が、2030年までに全世界で2.2%に達し、フルタイムで働く8,000万人分の労働力が消失すると分析しています。経済損失は2兆4千億ドル(およそ380兆円)にもなるとしています。

干ばつや洪水の被害は年々大きくなっています。気温上昇は暑さをもたらすだけでなく、食の変調もきたします。食料不足に悩む世界の人口は2014年以降、増え続けています。温暖化で収量が減り、暑さが農業従事者の労働時間を短くしています。海面上昇が耕作可能な土地を少なくすることも懸念されています。漁獲量も減っています。
気候変動に関する政府間パネルは、地球の気温上昇を1.5度以内に抑えるためには2035年に2019年比で60%の温暖化ガス削減が必要だと訴えています。2050年には実質排出ゼロを実現しなければなりません。しかし、化石燃料の大幅削減への道筋は定まらず、各国による実効性のある対策が求められています。

(2024年7月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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