男女の賃金格差

日本の男女の賃金格差が、2022年までの四半世紀で15ポイント縮小し、21.3%の差まで縮まっています。OECDのデータによれば、企業の待遇改善で差は狭まっていますが、なお先進国平均の約2倍あります。OECDが男女の週当たり総収入額の差を比べた調査によれば、米国では2022年で17.0%、英国は14.5%、フランスは2021年で11.6%です。OECD平均は11.9%です。
日本で格差が大きい要因には、女性はパートなどの非正規雇用が多いことに加え、管理職割合の低さや勤続年数の短さがあります。月額ベースの賃金は、2022年は男性が34万2,000円で、女性は25万8,900円です。25年前は約12万円の差がありました。
格差のさらなる是正に向けては、女性管理職の割合増加が鍵になります。労働政策研究・研修機構によれば、日本の管理職に占める女性の割合は、2021年に13.2%でした。スウェーデンの43.0%、米国の41.4%とは開きがあります。男女間の賃金格差の分析では、女性全体でみると男性の76%弱の水準ですが、部長や課長などの役職についた女性は男性の88%弱です。管理職になる女性が増えれば、賃金格差は緩和される可能性があります。
前例踏襲的な職場環境の中で、女性は評価されづらい状況にあり、管理職登用が進んでいません。テレワークや時差出勤を積極導入して、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりを心がけることが大切です。長時間労働や硬直的な働き方は、男性の家事・育児参加を阻む大きな要素にもなっています。

(2023年10月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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