男性不妊の関連遺伝子発見か

熊本大学の研究グループは、男性側に原因がある不妊に関わる遺伝子であるHSF5を発見しています。マウスの実験で、精巣でこの遺伝子が働かないと精子ができなくなることが分かりました。
研究チームは、オスの精巣だけで働いているHSF5という遺伝子に注目し、ゲノム編集技術でこの遺伝子をなくしたオスのマウスは、精子ができる途中で、細胞が死滅してしまいます。この遺伝子は精子の元となる精母細胞で働き、精子の頭部や尾部を作る遺伝子などを制御する司令塔として機能することが分かりました。
精子は、精母細胞が特殊な細胞分裂をして作られます。減数分裂と呼ばれ、両親から受け継いだ染色体を半分ずつに分配します。HSF5が働かない場合、減数分裂が途中で止まってしまい、染色体を正確に半分にできなくなっていました。ヒトの男性でもHSF5遺伝子には同じような機能があるとみており、ヒトの不妊との関連性が検討される予定です。
HSF5遺伝子は、減数分裂の中期パキテン期から、円形精子細胞まで発現しています。HSF5遺伝子を発現しなくなったマウスにおいては、まったく精子が形成されていません。

 

(Nature Communications 2024.4.29オンライン版)
(吉村 やすのり)

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