男性育休の壁

男性の育休取得そのものは少しずつ増えています。5年前は5%ほどだった取得率が、2022年度に17.13%となっています。しかし、厚生労働省の調査によれば、8割の職場で男性の育休代替要員の補充ができず、取得促進の重荷になっています。恒常的な長時間残業も心理的な障害で、育休期間の短い人が多くなっています。



育休取得者がいた場合の対応について、代替要員を補充せず、同じ部門の他の社員で対応したとの回答が79.9%に達しています。2019年度の52.3%を大きく上回っており、男性育休の増加に伴って上昇しています。取得率は企業規模が小さいと低くなり、職種別でも差があります。産業別では就業者数の多い卸売・小売が8.4%と最も低くなっています。
経団連の調査によれば、育休取得が進む大企業でも男女の取得日数に差が大きく、男性の育休取得率は47.5%に達していますが、取得期間は平均43.7日で、367.1日の女性を大きく下回っています。短期間の育休では、企業の代替要員確保が進まず、その後の男性の育児参加もおろそかになる恐れがあります。
男性に1カ月以上の育休を取らない理由としては、内閣府の調査によれば、職場に迷惑をかけたくないが42.3%で最も多く、職場が男性の育休取得を認めない雰囲気という回答も3.8%もみられています。長時間労働や休日・深夜の仕事に対応できる人ほど、昇進や賃金増を得やすい風土にもメスを入れる必要がります。

(2023年8月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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