登録有形文化財の拡大

文化財の登録制度は、歴史的価値のある建造物を幅広く保護する目的で、1996年に始まりました。従来、価値が特に高い文化財は、国宝や重要文化財に指定され、国の手厚い保護の対象となってきました。人口減と高齢化で、消失の危機にある歴史的な建造物を活用する取り組みが活発になっています。国の有形文化財に登録された建造物は、この10年間で1.5倍に拡大しています。



文化庁によれば、登録有形文化財は、11月1日時点で全国に1万3,761件と、2013年4月から4,600件強増えています。歴史的価値はあっても、所有者が保全を諦めた建物が地域には点在しています。登録制度を活用し、保護するだけでなく、新たな価値を付加する活用事例が増えています。
登録件数が全国最多の大阪府では、住民が主体となった保全・活用が広がります。鉄砲生産が盛んだった堺市は、鉄砲鍛冶屋敷の面影を残す建物が今でも多く残っています。異分野であるワインやアートと組み合わせて埋もれていた価値を再構築し、地域の観光資源に生まれ変わらせています。

(2023年12月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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