睡眠薬や抗不安薬の依存

神経の興奮を抑えるベンゾジアゼピン系薬(BZ薬)は、抗不安薬や睡眠薬として非常によく使われています。抗不安薬、睡眠薬は医療機関を受診した患者の数%に処方されています。しかし、長く使うとやめづらくなる危険もあります。依存には、薬を使いたいと強く感じる精神依存と身体依存があり、BZ薬では後者です。
身体依存の状態になると、薬を減量や中止した際、薬を飲む前よりも強い不安や不眠に襲われたり、痙攣や発汗、吐き気といった症状があらわれたりすることがあります。1980年代には、すでに治療で使う量でも長く使えば身体依存が生じうると報告されています。
BZ薬は、それ以前の薬よりも安全でよく効き、患者の満足度が高かったことなどが、漫然とした継続投与につながりやすくなっています。大切なのは、入り口から始める出口戦略です。使い始めの段階で、医療者と患者が薬を止める出口を話し合っておけば、後になってやめられないと慌てることはありません。

(2023年11月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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