禁煙治療

 厚生労働省は、禁煙治療に関して2016年度の診療報酬改定で見直し、34歳以下は基準を満たさなくても依存症と診断されれば保険適用にしています。例えば禁煙補助剤であるチャンピックスを12週間服用した場合、窓口での負担は1900円になります。全額自己負担に比べ、4万円以上安くなる計算です。禁煙治療は必ず成功するわけではありません。治療を始めてから1年後の禁煙継続率は35%にとどまっています。
 たばこがやめにくいのは、身体的と心理的の2つの依存があるためです。ニコチンの禁断症状という身体的依存は薬で抑えることができます。一方、仕事が一段落したら一服、吸わないと手持ち無沙汰など習慣にまつわる心理的依存から抜け出すには時間がかかるとされます。こうした習慣を改めるため、身近なスマホを使って手助けしようとする動きも出てきています。禁煙外来に通う患者がアプリ上で喫煙歴のほか、日々の体調や吸いたくなった時間帯、禁煙が続いているかどうかなどを入力しています。アプリはこうしたデータを基に起床時や食後など吸ってしまいそうな時に文字で注意を促しています。健康被害をまとめた動画の閲覧も促します。患者のデータは担当医に送信され、診察時の細かい指導にも役立てられます。
 私は30年以上の喫煙経験があり、その間何度となく禁煙を試みましたが、全て失敗に終わりました。禁煙をしようと思うのではなく、何か願を懸けるのが良いと思います。「これが達成するまで煙草を吸わないでおこう」と軽い気持ちで始めて下さい。比較的簡単に止められます。願は実現可能なことが良いと思います。まったく可能性の無い事だと諦めてすぐに吸ってしまうことになります。

(2016年6月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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