糖尿病薬のやせ薬としての使用

インターネット上でやせ薬として紹介される糖尿病の治療薬について、製薬会社が出荷制限がかかる事態となっています。供給不足が主な原因ですが、その背景には美容目的での利用の広がりがあります。糖尿病治療に影響が出るとして、医師らは、本当に必要な人に薬が行き渡らなくなると危機感をにじませています。
問題になっている薬は、GLP―1受容体作動薬です。インスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きをします。注射薬や飲み薬があり、2型糖尿病患者に投与されています。欧米では、食欲を抑えるとして肥満症の治療でも使われています。厚生労働省などは、糖尿病でない人への安全性などが確認されていないとして注意を促しています。
この薬が保険適用されない自由診療を中心に処方されています。ネット上でGLP―1ダイエットと検索すると効果の宣伝とともに、オンライン診療で薬を受け取れる、すぐに発送など、手軽さも強調する美容系クリニックのページが複数表示されています。糖尿病の知識の無い美容外科や皮膚科などで使用されているのも問題です。
製薬会社や日本糖尿病学会、厚生労働省などの関係機関は、今回やせ薬として問題となっている薬について、糖尿病でない人への安全性と有効性は確認されていないとして注意喚起をするとともに、薬を必要とする糖尿病患者に行き渡るよう、治療以外での利用を控えるよう呼びかけています。

(2023年10月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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