緊急避妊薬のOTC化

望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬に対して、医師の処方箋なしで薬局で買えるOTC医薬品にするための研究事業が、11月末に始まりました。参加する協力薬局は全国145カ所と限られ、早期の全面的な解禁を求める声も出ています。
日本では、現在医師の処方箋がないと、緊急避妊薬を薬局で購入できません。研究事業は、例外的に一部の薬局で緊急避妊薬を販売してみて、処方箋なしでも適正な販売ができるのか検討することが目的です。協力薬局は、研修を修了した薬剤師がいる、近隣の産婦人科医と連携できるなどを条件に、各都道府県で2~6カ所ずつ選ばれています。研究事業のウェブサイトに掲載されています。
性交後72時間以内にのむと8割の確率で避妊でき、購入を希望する場合は、サイトから協力薬局を探し、電話をかけてから薬局へ行きます。薬局には、プライバシーを確保できる個室などがあり、そこで薬剤師から薬の説明や指導を受け、同意すると販売されます。対象年齢は16歳以上で、18歳未満は保護者の同伴が必要です。購入後、その場で服用します。服用直後と約1カ月後の2回、その後の経過などについて、アンケートに答える必要があります。
WHOの中絶ケアガイドライン(202年)は、緊急避妊を希望する人が、処方箋なしで市販の緊急避妊薬を入手できるようにすることを推奨するとしています。5月のG7広島サミットでも、全ての人の包括的な性と生殖に関する権利を達成することが確認されています。自分の体のことを自分で決める権利を守るため、緊急避妊薬は、いつでも手に入る状態になることが望ましいと思われます。

 

(2023年12月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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