脳死での臓器移植の流れ

脳死とは、脳の全ての働きが失われた状態です。どんな治療をしても回復せず、人工呼吸器などの助けがないと、やがて心臓は止まります。脳の機能が一部残った植物状態とは違います。欧米など多くの国では、脳死は人の死とされますが、日本では、脳死での臓器提供を前提に考えた場合に限り、脳死が人の死になります。脳死の判断のためには、目の瞳孔が開いて動かないこと、自発呼吸がないことなど5つの検査を2回行います。移植とは関係のない2人以上の医師で判定します。
法律では、①提供する意思を本人が示していて、家族が拒まない場合か、②本人の意思が不明で、提供することを家族が書面で承諾した場合に限り、臓器の摘出を認めています。
病気や事故で脳に重いダメージを負った人に、救命治療をしても回復が認めず、主治医らが脳死の可能性があると判断した場合、臓器提供が終末期医療の選択肢として示されます。家族が説明を希望すれば、日本臓器移植ネットワークの移植コーディネーターが派遣されます。家族が臓器提供を承諾すると、判定が始まります。2回目の判定後、臓器が摘出され、移植を待つ人に移植されます。
移植を受ける患者は、登録した希望者の中から、医学的な条件などで選ばれます。心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球(角膜)を移植できます。心臓が停止した人からや、健康な親族からの生体移植もあります。心停止後の移植は主に腎臓、生体移植は腎臓や肝臓の一部などを移植できます。待機期間が長引くなどし、海外で移植を受ける人もいます。多くの人が移植を待っているのは他の国も同じです。また臓器売買につながる恐れもあります。移植に必要な臓器は、自国でまかなうことが国際的な原則になっています。

(2023年10月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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