訪日客の旅行消費額の増加

訪日客の消費が新型コロナウイルス禍前を超えました。観光庁の公表によれば、2023年訪日客の旅行消費額は計5兆2,923億円で過去最高でした。訪日客数は2,506万人で、コロナ禍前の2019年の8割に回復しています。消費の目的別では宿泊費が最も多く、買い物よりも体験を重視する傾向が強まっています。
消費額は、政府が目標として掲げていた通年5兆円を初めて突破しました。目的別では、最も多かった宿泊費で1兆8,289億円で、買い物代が次いで1兆3,954億円でした。構成比でみると、宿泊費は2019年の29.4%から2023年は34.6%に増え、買い物代は34.7%から26.4%に減っています。

 

訪日客の消費が新型コロナウイルス禍前を超えた一方で、観光地の人手不足が深刻化しています。宿泊関係だけで必要な人材の2割超不足しています。求人件数は、2023年11月、12月と2カ月連続で、2万8,000件を超え、2割以上増えています。1割弱増えた全職種より増加率は高くなっています。国内の宿泊業の就業者は約60万人ですが、2割以上が足りない計算です。
宿泊業は10万人の人手が足りない場合、月間で約700万人・泊の宿泊需要を取り逃すことになります。大手ホテルでは、賃上げなどの待遇改善で人手を確保する動きが広がっています。観光立国を支えるには賃上げなど待遇改善による人手確保を進めると同時に、省人化投資も必要になってきます。

(2024年1月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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