認知症患者数の増加

厚生労働省の推計によれば、認知症の患者数が、2030年に523万人、2060年には632万人にのぼる見通しです。高齢者の14%にあたる7人に1人が認知症患者となります。仕事と介護の両立が困難な人が増えると、経済的な損失は、年9兆円に及ぶとの試算もあります。最大の課題は介護人材の確保で、政策とテクノロジー活用の両面での取り組みが必須となります。
厚生労働省が、痴呆を認知症と改めたのは2004年です。その後は、早期診断・早期治療を掲げた認知症施策推進5カ年計画(2013~2017年度)の実施や、2019年に共生と予防を両輪とした大網を打ち出すなどしてきました。認知症基本法では、予防は施策の一つと位置づけ、共生をさらに進めることにしました。
認知症の人らにとっての生活の基盤の一つが介護保険制度ですが、苦しい財政状況となっています。制度開始当初の2000年度に約3.6兆円だった介護の総費用は、高齢化に伴って約4倍に膨らんでいます。介護環境が整わないと、親の介護で仕事を続けられなくなる人が続出し、仕事と介護を両立するビジネスケアラーは増加の一途を辿っています。経済産業省によれば、2030年時点で約318万人、経済損失額は、大企業1社当たりで見ると年6億円超に上ります。

 

(2024年5月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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