迫る介護クライシスーⅢ

国民の理解の必要性
介護サービスは、国民が納める保険料と税金によって賄われています。職員の本格的な賃上げには、国民負担を増やす必要がありますが、そのためには国民の理解が必要です。
介護事業者の経営規模を拡大して運営効率が高まれば、人件費を充てる資金を増やせる可能性があります。介護施設は、1つの社会福祉法人が1つの事業所を運営するケースが多く、規模のメリットが働きにくくなっています。複数の法人が連携し、利用者の食事の準備や採用活動、職員の研修など、一部の業務を一体で運営するなど工夫の余地はあります。
介護事業者が受け取る介護報酬は原則1割を高齢者本人が支払い、その他は介護保険から支払われています。保険給付は税金と40歳以上の国民が納める保険料で賄われています。職員の給与を増やすために介護報酬を上げなければ、利用者や国民の負担増は避けられません。税と保険料、利用者負担のどこにどれだけ財源を求めるかは、様々な選択肢が考えられます。

(2023年11月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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