都市公園の再生のために

地方自治体などが設置する都市公園の再生が進んでいません。公園の数は、約60年間で25倍となりましたが、2021年度の維持管理費はピーク時の9割でしかありません。全体の9割を占める小規模な公園の維持管理の負担が重くなっています。
自治体が再生の活路を見いだすのは企業との連携です。飲食店や売店などを設置し、民間の収益を公園の整備に充てるパークPFI制度が2017年に創設されています。名古屋市では、2020年に中心部である久屋大通公園で三井不動産がパークPFI制度の事業者となり、約40店舗を出店しています。東京都渋谷区も、老朽化が進んでいた宮下公園で同社と連携し、立体都市公園制度を活用して屋上に公園を移し、下層は商業施設などを入居させてオープンしています。

 

海外の主要都市は1人当たりの公園面積が、日本と比べて大きいのが特徴です。東京23区の4㎡に対し、独ベルリンは28㎡、英ロンドンは27㎡、米ニューヨークは19㎡などとなっています。海外では、公園を含む自然が持つ多様な機能を活用し、防災や気候変動、生物多様性などの課題の解決につなげるグリーンインフラを、都市戦略の柱に位置づけています。
憩いの場として都市公園を充実させていくためには、まずは自治体と住民、企業ら関係者が本音で話し合い、ともに価値を高めていく姿勢が求められます。

(2023年9月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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