金融教育の必要性

日本は高度経済成長期を経て豊かな暮らしを実現しましたが、新興国の追い上げを受け、次第に経済成長に陰りが出ています。しかも少子高齢化の加速で、働く世代の人口が急速に縮み、公的年金の支給年齢引き上げや給付水準の抑制が避けられません。国に支えてもらうだけでなく、個人レベルで将来の資産形成に取り組む必要に迫られています。
2022年度から高校の授業で金融教育が必修化されました。資産運用だけでなく、家計管理も含めた資産形成の知識を身につけることが必要になっています。資産形成は2本柱で成り立っています。1つは収入を増やす資産運用、もう1つは支出を減らす家計管理です。企業は、必ず損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)という書類を作成します。企業のPLとBSなどに当たるのが、家庭の家計簿です。
家計管理の習慣が身についたら、次に取り組むのが資産運用です。最初に、資産運用は株式で運用すれば株式相場、外貨の場合は外国為替相場の影響を受けますが、企業業績や海外経済について自分なりに勉強し、資産運用先を選ぶ努力は大切です。資産運用の基本は、相場の急変動で大切な資産を一瞬で失ってしまわないように、運用先を分散させ、長期にわたって保有を続ける長期・分散投資です。
お金の知識を身につけることは、将来の安定した暮らしのために不可欠です。お金について考えることは、世の中を知ることにもつながります。資産形成だけでなく、未来の世界を考えるためにもお金の知識は役立つと思います。

(2023年9月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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