震災時のリスクの低減

1923年の今日、東京や横浜は炎に包まれました。関東大震災から100年、華やかなビルが立ち並び、発展した首都は、地震に強い街となっているのでしょうか。強い揺れで建物が倒れ、大規模な火災が次々と起きました。震災の22年後、東京は空襲で再び焼け野原になりました。
戦後の復興期や高度経済成長期に、産業が集中した都市部で人口が急増しました。その際、木造住宅が無秩序に建てられ、密集地域ができていった場合が多くなっています。大規模災害に見舞われた時のことを想定し、あらかじめ復興計画を作っておく動きが出てきています。事前復興と呼ばれるもので、東京都は2001年に震災復興グランドデザインを作っています。大規模区画整理で木密を解消したり、交通網を再編したりするなどの指針を掲げています。
大規模な延焼や、建物の倒壊や火災で避難ができなくなる危険が特に高いとして、国土交通省がまとめた地震時等に著しく危険な密集市街地は、2022年度に12都府県に計1,875haあります。都府県別でみると、1位は大阪の895haで、神奈川の301ha、京都の220haと続きます。東京は83haで6位です。2011年度の調査では、東京は1,683haで2位、大阪は2,248ha、神奈川は690haと大きく減少しています。一因は再開発の進度にあります。
一方、土地・建物の権利関係が複雑な場合が多い大阪や、斜面地に密集地の多い横浜や神戸、歴史的な木造建築が多い京都など、それぞれ解消が進みにくい特性があります。地域ごとの課題に対応しようと、京都では街並みを残しつつ、避難経路を確保する事業に注力しています。大阪では、地理情報システム(GIS)を活用した延焼シミュレーションから対策の重点地点を絞っています。

 

(2023年8月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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