人工網膜の臨床応用への道

網膜色素変性症は視覚を担う細胞を失い、失明に近い状態となる。この治療法として人工網膜が考えられている。目の裏側に電極を付け、生き残っている網膜を電気で刺激する方法である。この方法により、物の形が何となくわかるまでに回復した例もあるとのことで、安全性と治療効果を見極めた上で、臨床応用の道が検討されるようになっている。

これまで視力を回復させるための研究は、iPS細胞を使う再生医療が中心であったが、こういった物理的な刺激による治療法も考えられるべきである。現在すべての研究の方向性が、iPS細胞を用いた再生に目が向けられている。クローンES細胞や流行にまどわされない大脳の電気生理学的な発想も大切である。


(2014年5月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり

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