リスキリングの必要性

政府が公表した新しい資本主義の実行計画改定案では、転職の壁を打ち壊し、労働市場を活性化して成長産業への移動を促す狙いがあります。労働者側が新たな職場でより良い待遇を得るには、職務に合ったスキルを得て成果を出すことが必要となります。転職しやすい環境を整え、個人のスキルを高めれば働き手の選択肢は増えます。
しかし、リスキリングへの日本の労働者の意欲は諸外国に比べて乏しいです。パーソル総合研究所の調査によれば、社外での学びなど自分への投資をする人の割合は、日本は4割に過ぎません。米国やインドは8割、スウェーデンや中国は7割で、仕事を通じた成長志向とその実感度合いが高くなっています。日本はスキル向上で得られる満足感も高くありません。
国が制度を整えても、労働者が時間やお金の負担を避ければ、日本経済の生産性向上は望めません。スキル取得への意欲が低いのは、時間的な制約が一因との声もあり、働き方改革の推進は不可欠です。同時に働き手の意識改革も重要になります。転職が活発になっても待遇が無条件に改善するわけではなく、自分への投資を進める環境整備が欠かせません。

(2023年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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