労働時間の短縮

長時間労働の是正に世代間の差が目立ってきています。男性の1人あたり年間就業時間を2022年と2013年で比べると、25~34歳は8.6%減少しましたが、45~54歳は5.7%減でした。減少率は若い世代ほど大きく、管理職ほど古い働き方から脱しきれていません。効率良く働いて成果を出すことが大切となります。
日本では、2019年4月から大企業、2020年4月から中小企業を対象に年間の時間外労働を原則360時間以内とする上限規制ができました。法整備を受け、先進国でも突出して長かった労働時間は、全体で見れば抑制されてきました。日本の週あたり労働時間は2021年に36.6時間で、米国と同じですが、30.1時間のフランスや32.2時間のカナダよりは長いのですが、先進国の中で際立って長い状況ではありません。
2022年の労働力調査で見た男性の就労時間は、25~34歳で年2,120時間と、45~54歳より3.7%短くなっています。2013年と比べた減少率は、25~34歳が8.6%、35~44歳は7.9%、45~54歳が5.7%で、若い世代ほど大きく減っています。長時間労働は是正されてきたものの、取り組みは若い世代が先行し、世代間の差は広がっています。若い世代は残業を抑えて仕事から離れているのに、管理職にあたる世代は離れられていません。
家庭と両立できる就労環境を長期にわたり整備することが、男女の家事参加の格差是正につながります。育児休業だけでなく、子育てと仕事を長く両立できる環境づくりが欠かせません。一方、日本の時間あたり労働生産性は、米国の6割弱にとどまっており、OECD38カ国中27位です。効率良く働き、付加価値を生む取り組みが必要です。

 

(2023年8月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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